オルカンとS&P500を両方積み立てる意味はある?分散ではなく「米国比率を上げる」投資になる理由を解説

外国為替、FX

「オルカン」と呼ばれる全世界株式インデックスファンドと、S&P500連動型の投資信託を両方積み立てている人は少なくありません。一見すると「全世界」と「米国」で投資先を分けているように見えますが、実際にはかなりの銘柄が重複します。

そのため、オルカンとS&P500を併用する主な意味は、投資先を大きく分散することではなく、全世界株式の中にすでに含まれている米国株の比率をさらに高めることにあります。

「世界全体へ時価総額に応じて投資したい」のであればオルカン一本でも考え方として成立します。一方、「世界へ分散したいが、米国にはもう少し多く投資したい」という人にとっては、オルカン+S&P500にも明確な意図があります。

そもそもオルカンの中には米国株が大量に入っている

代表的なオルカンであるeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、MSCI ACWIをベースとする全世界株式への投資商品です。MSCI ACWIは先進国と新興国の大型株・中型株を幅広く組み入れる時価総額加重型の指数です。

世界の株式市場では米国企業の時価総額が非常に大きいため、全世界株式へ時価総額比率で投資すると、結果として米国の比率が大きくなります。つまりオルカンは「米国を避けた商品」ではなく、米国を中心としながら日本、欧州、カナダ、新興国などにも投資する商品と考えると分かりやすいでしょう。

さらに上位銘柄にはNVIDIA、Apple、Microsoft、Amazonなど米国の大型企業が並びます。したがってオルカンを保有した時点で、すでに米国の巨大企業へ相当な割合で投資しています。[参照:MSCI ACWI]

オルカン+S&P500は「分散」より米国への上乗せ

S&P500は米国の代表的な大型株指数で、S&P Dow Jones Indicesによると米国株式市場の利用可能な時価総額のおよそ80%をカバーしています。構成銘柄にはNVIDIA、Apple、Microsoft、Amazon、Alphabetなどが含まれています。[参照:S&P Dow Jones Indices S&P 500]

これらの企業はオルカンにも含まれています。そのためオルカンを持っている人がS&P500を追加購入しても、「今まで持っていなかった500社を新しく加える」という意味にはなりません。多くの主要銘柄を重ねて保有することになります。

例えば説明を簡単にするため、オルカンの米国比率を仮に60%として、オルカン50万円とS&P500を50万円保有したとします。オルカン部分の米国株30万円分にS&P500の50万円分が加わるため、合計100万円のうち約80万円が米国株という計算になります。

つまり50対50で購入しても「全世界50%、米国50%」という単純な地域分散にはなりません。実態としてはかなり米国へ傾けた世界株ポートフォリオになります。

それでも両方を買う人にはどんな理由がある?

両方を保有すること自体が間違いというわけではありません。最も合理的な理由は「全世界株式を基本にしながら、米国株をオーバーウェイトしたい」という考え方です。

例えば、将来どの国が成長するかは分からないので日本や欧州、新興国にも投資しておきたい一方、米国企業の成長力や株式市場の厚みを評価して米国へ多めに投資したい、という考え方です。この場合、オルカンを土台にしてS&P500を追加することには一貫性があります。

ほかにも、以前はS&P500を積み立てていたものの途中からオルカンを中心に変更し、売却せず両方を保有しているケースもあります。NISAなどでは「昔買った商品をわざわざ売らず、新規積立だけ変更する」という選択もあり得るため、両方持っているからといって最初から50対50を狙ったとは限りません。

「両方買えばリスク分散になる」は少し違う

投資における分散では、単純にファンドの本数を増やせばよいわけではありません。重要なのは、その中身がどの程度異なっているかです。

オルカンとS&P500では米国の主要大型株が重複するため、2本に分けたことで地域分散が大幅に進むわけではありません。むしろオルカン単独より米国への集中度は高くなります。

組み合わせ 投資の特徴
オルカンのみ 世界の株式市場へ時価総額比率で幅広く投資
S&P500のみ 米国大型株へ集中
オルカン+S&P500 世界分散を残しながら米国比率を上乗せ

したがって「2商品にしたから1商品より安全」という理解は適切ではありません。オルカンとS&P500はどちらも株式中心なので、世界的な株価下落時には両方が同時に大きく下落する可能性があります。

オルカン一本で十分という考え方にも合理性がある

「どの国が今後勝つのか自分では予想しない」という投資方針なら、オルカン一本にする方法は非常にシンプルです。世界の株式時価総額が変化すれば、その変化が指数の国別構成にも反映されます。

今後も米国企業の時価総額が大きければ米国の高い比率が維持され、逆に将来ほかの国の株式市場が相対的に大きくなれば、その国の比率が上昇します。投資家自身が「次は米国か、日本か、インドか」と判断して配分を変更する必要がありません。

また商品が一本なら、積立設定や資産管理も簡単です。「S&P500を何%にするか」「米国が上がりすぎたからリバランスするか」といった判断も不要になります。長期積立では、この分かりやすさも無視できないメリットです。

S&P500を追加するなら「なぜ何%足すのか」を決める

オルカンにS&P500を追加する場合に大切なのは、なんとなく人気商品を2つ買うのではなく、自分がどの程度米国へ傾けたいのかを考えることです。

例えば「基本は世界全体へ投資するが、米国を少しだけ多くしたいのでオルカン80%・S&P500 20%」という設計なら、投資方針を説明できます。一方、「どちらが上がるか分からないので半分ずつ」という理由では、実際には両者の中身が大きく重複していることを理解しておく必要があります。

またS&P500を追加すれば期待リターンが必ず高くなるわけではありません。将来、米国株が他地域より好調なら有利になりますが、米国株が相対的に低迷すればオルカン一本より不利になる可能性があります。これは分散の強化ではなく、米国株を多くするという投資判断だからです。

株式以外のリスク分散とは分けて考える

オルカンとS&P500の組み合わせを考える際には、「地域分散」と「資産クラスの分散」を混同しないことも重要です。どちらも基本的には株式へ投資する商品なので、2本保有しても株式100%であることに変わりはありません。

値動きそのものを抑えることを目的に分散したい場合は、現金や債券など性質の異なる資産との組み合わせを検討する考え方があります。金融庁も長期・積立・分散投資について、値動きの異なる複数の資産や地域に分散することで価格変動を一定程度抑える考え方を紹介しています。[参照:金融庁 NISAを知る]

ただし、どの配分が適切かは年齢だけでは決まりません。投資期間、収入の安定性、生活防衛資金、数年以内に必要になるお金、どの程度の下落まで耐えられるかによって適切なリスク量は異なります。

まとめ:オルカン+S&P500は分散というより「米国を多めに持つ」組み合わせ

オルカンとS&P500を両方積み立てる最大の意味は、一般にリスク分散を大幅に増やすことではなく、全世界株式を保有しながら米国株の比率を意図的に高めることです。オルカンにはもともと米国株が大きな割合で含まれ、主要企業もS&P500と重複しています。

そのため「世界の時価総額に合わせて淡々と投資したい」という方針ならオルカン一本でも十分に筋が通っています。一方、「世界分散は維持したいが米国を市場平均より多く持ちたい」という明確な考えがあるなら、オルカン+S&P500にも合理性があります。

重要なのはファンドの本数ではなく、中身です。両方を買う場合は「分散のため」だけでなく、結果として米国株の比率がどこまで上昇するのかを確認し、その配分が自分の投資方針に合っているかを判断するとよいでしょう。

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