日本の銀行株は、長く続いた超低金利環境から金融政策が正常化する過程で注目されやすくなっています。株価チャートを見ると右肩上がりに見える銘柄もあり、「今から買ってもよいのでは」と考える人もいるでしょう。
ただし、株価がこれまで上昇してきたことと、これからも同じペースで上昇することは別です。銀行株では特に、金利、貸出需要、預貸金利ざや、保有有価証券の損益、与信費用、株主還元などを確認する必要があります。
銀行株を判断するときは「金利が上がれば銀行株も上がる」と単純化せず、すでに株価へ織り込まれている期待と今後の業績を比較することが重要です。
なぜ銀行株は上がりやすいと言われているのか
銀行の代表的な収益源の一つが、預金などで調達した資金と、企業や個人への貸出金利との差から得られる利ざやです。低金利が極端に長く続くと、この利ざやを確保しにくくなります。
一方、金利がある世界へ移行すると、貸出金利などの上昇によって銀行の収益環境が改善する可能性があります。日本銀行は2024年にマイナス金利政策を終了し、その後も金融政策の正常化を進めてきました。[日本銀行・金融政策決定会合参照]
銀行株の上昇には、こうした金利環境の変化だけでなく、好調な業績、増配、自社株買い、企業統治改革への期待なども影響します。つまり「銀行だから上がった」というより、複数の好材料が評価されてきたと考えるほうが適切です。
金利上昇は銀行にとって必ずプラスなのか
一般には緩やかな金利上昇は銀行収益に追い風になりやすいと考えられます。しかし、金利は高ければ高いほど銀行に有利というわけではありません。
預金金利も上昇すれば銀行の資金調達コストは増えます。また急激な金利上昇によって景気が悪化すれば、企業倒産や住宅ローンなどの延滞が増え、貸倒れに備える与信費用が膨らむ可能性があります。
さらに銀行は国債など大量の債券を保有しています。市場金利が上昇すると既発債券の価格は下落するため、保有有価証券に含み損が発生することがあります。銀行株にとって理想的なのは、必ずしも急激な金利上昇ではなく、景気を壊さない範囲で金利と利ざやが改善する環境です。
「右肩上がりだから買う」には注意が必要
チャートがきれいな右肩上がりになっていると、「これからも同じように上昇する」と感じやすくなります。しかし株価は過去ではなく、将来の利益に対する市場参加者の期待によって動きます。
例えば銀行の利益が今後20%増えるという期待から株価が先に50%上昇していたとします。その後、本当に20%増益になったとしても、市場が30%増益を期待していれば決算発表後に株価が下落することがあります。
これが「好決算なのに株価が下がる」現象の一つです。良い会社かどうかだけではなく、その良さが現在の株価へどの程度織り込まれているかまで考える必要があります。
銀行株を見るときに確認したい指標
銀行株では一般企業と同じPERやPBR、配当利回りに加えて、ROE、貸出金残高、資金利益、預貸金利ざや、与信費用などを見ると業績を理解しやすくなります。
| 確認項目 | 主に分かること |
|---|---|
| PER | 利益に対して株価がどの程度評価されているか |
| PBR | 純資産に対する株価水準 |
| ROE | 自己資本を使ってどれだけ利益を生み出しているか |
| 資金利益・利ざや | 本業の貸出などで収益を伸ばせているか |
| 与信費用 | 貸倒れなどに伴うコスト |
| 配当・自社株買い | 株主還元の方針 |
銀行は資産・負債の構造が一般的な製造業などと異なるため、「PERが低いから割安」と一つの指標だけで決めないことが大切です。各銀行の決算説明資料や有価証券報告書も確認すると判断材料が増えます。
メガバンクと地方銀行は同じ「銀行株」でも違う
銀行株を一括りにすることにも注意が必要です。大手金融グループと地方銀行では、収益源や事業地域、海外事業への依存度などが異なります。
大手金融グループには国内融資だけでなく、海外融資、証券、資産運用など複数の収益源があります。そのため米国をはじめ海外の金利・景気・為替変動からも影響を受けます。
地方銀行の場合は地域経済との関係がより重要です。人口減少や企業数の減少によって貸出先の拡大が難しい地域もある一方、再編や経営効率化によって収益改善が期待される銀行もあります。「銀行株が有望」というテーマだけで銘柄を選ばず、個別の事業内容を見る必要があります。
配当目的で銀行株を買う場合の注意点
銀行株には配当を重視して投資する人も多くいます。株価上昇だけでなく、長期間保有して配当を受け取ることを目的にすれば、短期的な値動きだけに振り回されにくくなるメリットがあります。
例えば100万円分の株を保有し、配当利回りが仮に3%なら、単純計算では年間3万円の配当になります。ただし配当額も利回りも保証されておらず、業績悪化などによって減配される可能性があります。
また「配当利回りが高いから安全」というわけでもありません。株価が大きく下落した結果として計算上の配当利回りが高くなっているケースもあります。配当性向や利益推移、会社が示す株主還元方針まで確認することが重要です。
今買うのが怖いなら一度に全部買わない方法もある
銀行株に長期的な魅力を感じていても、「かなり上がった後なので高値づかみが怖い」という場合があります。この問題は将来の株価を正確に予想しなければ解決できるものではありません。
そこで購入時期を分ける方法があります。例えば銀行株へ30万円投資する予定なら、30万円を一度に買わず10万円ずつ3回に分ける方法です。購入後に株価が下落すれば次を安く買え、上昇すればすでに購入した分には値上がり益が発生します。
分割購入は利益を保証する方法ではありませんが、「今日が天井か底か」を一度の判断で当てる必要を小さくできます。高値圏だと感じる局面では心理的にも使いやすい方法です。
銀行株だけに集中しすぎないことも重要
銀行株の将来性に期待していても、投資資金の大部分を銀行だけへ集中させると、金融政策や景気後退といった同じ要因で複数銘柄が一斉に下落する可能性があります。
例えば3つの銀行株を持っていれば3銘柄には分散していますが、すべて銀行なので「業種」という観点では集中投資です。金利低下や金融不安が起これば、3銘柄が同時に下落することがあります。
銀行株に加えて幅広い業種を含むインデックスファンドなどを保有すれば、特定業種への依存度を下げることができます。銘柄数だけではなく、業種や国まで含めて資産配分を見ることが重要です。
銀行株が下がりやすい場面も知っておく
銀行株は、将来の利下げ観測が強まったとき、長期金利が低下したとき、景気後退への懸念が高まったときなどに売られることがあります。金融危機への警戒が強まればさらに大きく動く可能性があります。
また日銀の利上げを期待して銀行株が上昇していた場合、日銀が市場予想より慎重な姿勢を示すだけでも利益確定売りが出ることがあります。逆に利上げでも、すでに十分織り込まれていれば株価が上がらない場合があります。
銀行株を買う前には、「なぜ上がると思うか」だけではなく、「どんな状況になったら自分の想定が外れたと判断するか」も考えておくと、下落時の判断がしやすくなります。
まとめ|銀行株は追い風がある一方「右肩上がり」だけで買わない
銀行株には、超低金利から金利のある環境への移行、利ざや改善、増配や自社株買いなど、株価を支える材料があります。そのため中長期的な投資対象として銀行株を検討すること自体には合理的な理由があります。
しかし、「最近ずっと右肩上がりだから、これからも上がる」という理由だけで購入するのは注意が必要です。株価がすでに将来の利上げや増益をどこまで織り込んでいるのか、PER・PBR・ROE・資金利益・与信費用・株主還元などを確認することが重要です。
長期的には銀行株を持ちたいものの現在の価格に不安があるなら、投資予定額を複数回に分ける方法もあります。また銀行株だけへ資金を集中させず、他業種や幅広いインデックス商品などと組み合わせれば、一つの業界に依存するリスクを抑えられます。
最終的には「銀行株が上がりそうか」だけではなく、下落しても保有できる金額か、何年保有するのか、配当を目的とするのか、資産全体で銀行株を何%まで持つのかを決めてから購入することが、長期的な資産運用では重要です。
こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。


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