株価が比較的安い株主優待銘柄は?少額で狙いやすい優待株と配当・業績の見方を解説

株式

株主優待を目的に株式投資を始めるなら、できるだけ少ない資金で購入でき、普段の生活で使いやすい優待があり、さらに配当も受け取れる銘柄は魅力的に見えます。ただし、株主優待の内容だけで銘柄を決めてしまうと、株価の下落によって優待以上の損失が発生することもあります。

そこで重要なのが、「必要投資額」「優待の実用性」「配当」「業績・財務」「長期保有条件」をセットで比較することです。特に100株から優待を受けられる銘柄には、通信、買い物、ポイント、商品券など日常生活で利用しやすい特典を設けている企業があります。

この記事では、比較的少額から検討しやすい株主優待銘柄を中心に、楽天グループ、ソフトバンク、NTT、TOKAIホールディングス、ヤマダホールディングス、イオンなどを例として紹介します。優待制度や配当は変更されることがあるため、購入前には必ず各企業の最新IR情報を確認してください。なお、株価は日々変動するため、本記事では特定時点の株価を基準に「必ず安い」と断定せず、100株を取得する際の実際の必要資金を証券会社で確認することを前提としています。

少額で株主優待銘柄を選ぶときの5つのポイント

株主優待銘柄を探すときは、優待品の金額だけで判断するのではなく、まず100株を取得するためにいくら必要なのかを確認します。日本株では100株を1単元としている企業が多いため、例えば株価が500円なら100株で約5万円、1,000円なら約10万円、2,000円なら約20万円が購入代金の目安になります。実際には株価変動や取引手数料なども考慮する必要があります。

次に確認したいのが優待の利用価値です。5,000円相当の優待でも、自分が使わないサービスなら実質的な価値は低くなります。一方、毎月利用する通信サービス、スーパー、家電量販店などで使える優待なら、額面以上に便利だと感じることもあります。

さらに、配当利回りだけでなく配当方針や業績も確認します。利益が減少しているのに高い配当を続けている場合、その水準が将来も維持されるとは限りません。優待利回りだけでなく、配当を含めた総合的な株主還元と企業の収益力を見ることが大切です。

  • 必要投資額:100株購入するための金額はいくらか
  • 優待:自分が実際に使える内容か
  • 配当:現在の配当額だけでなく継続性があるか
  • 業績・財務:売上や利益、キャッシュフロー、負債などに無理がないか
  • 条件:長期保有や申し込みなどの条件がないか

楽天グループ|楽天モバイルを使う人には特徴的な株主優待

楽天グループ(4755)は、通信費を抑えたい人にとって特徴的な株主優待を実施しています。第29期株主優待では、2025年12月末時点の株主名簿に記載された100株以上の株主を対象として、楽天モバイルの「音声+データ30GB/月」プランを6カ月無料で利用できる優待が用意されました。[参照]

さらに第29期では継続特典があり、2025年12月末と2026年6月末の株主名簿に同一株主番号で記載され、両時点で100株以上を保有するなどの条件を満たすと、追加で6カ月無料となります。つまり条件を満たした場合は合計12カ月利用できる仕組みです。途中ですべて売却して再取得すると株主番号が変わり、継続特典の対象外になる場合があるため注意が必要です。[参照]

例えば普段から楽天モバイルを利用したい人であれば、商品券などとは異なり通信費という固定費の削減につなげられる可能性があります。一方、楽天モバイルを利用しない人にとっては優待の実用性が下がるため、「優待額が大きそう」という理由だけで購入するのは避けたいところです。

また、楽天グループは2025年12月期の期末配当を無配としています。したがって、現時点では「優待も配当も充実した銘柄」というより、楽天モバイルの優待をどの程度活用できるかが重要な銘柄として考えるほうが分かりやすいでしょう。[参照]

ソフトバンク|100株・1年以上保有でPayPayマネーライト

少額から優待と配当の両方を検討したい場合、ソフトバンク(9434)も比較対象になります。同社では普通株式を1年以上かつ100株以上保有する株主を対象に、PayPayマネーライト1,000円分を進呈する株主優待を実施しています。[参照]

PayPayを日常的に利用する人なら使い道を考えやすいのが特徴です。ただし、株を100株購入した直後に1,000円分が受け取れる制度ではありません。1年以上の保有条件があり、同一株主番号で基準日の株主名簿に継続して記載される必要があります。また優待を受け取るための申請も必要です。

配当については、ソフトバンクは2026年度の普通株式について1株当たり年間8.8円の配当を予定しています。100株なら予定額ベースで年間880円となりますが、配当予想は将来変更される可能性があります。[参照]

優待だけを見ると金額は大きくありませんが、PayPayを使いやすい人にとっては分かりやすく、配当と組み合わせて考えられる点が特徴です。

NTT|100株から保有期間に応じてdポイント

NTT(9432)にも100株以上の株主を対象とした株主向けポイント制度があります。2026年3月31日を基準日とする制度では、100株以上を保有し、保有期間が2年以上3年未満の場合に1,500 dポイント、5年以上6年未満の場合に3,000 dポイントが進呈されます。[参照]

ここで特に注意したいのは、毎年ポイントがもらえる制度ではないことです。同一株主番号で受け取れるポイントは最大4,500ポイントとされています。そのため、「毎年の優待利回り」で比較すると誤解しやすく、長期保有株主向けの特典として考える必要があります。

一方、配当についてNTTは継続的な増配を基本方針の一つとしており、2026年度は1株当たり年間5.4円を予定しています。100株なら予定額ベースで年間540円です。会社公表では16期連続増配の予定とされています。[参照]

NTTは優待を毎年受け取りたい人というより、少額から長期保有を考え、配当と長期保有特典を組み合わせたい人が比較しやすい銘柄といえます。

TOKAIホールディングス|年2回の選択制優待と配当を両方検討できる

TOKAIホールディングス(3167)は、優待内容を自分で選びたい人にとって候補になりやすい銘柄です。同社では毎年3月31日と9月30日時点で100株以上を保有する株主を対象に、年2回の株主優待を実施しています。[参照]

優待は飲料水、QUOカード、グループレストラン食事券、TLCポイント、スマートフォン通信サービスの割引などから選択できます。優待品を一方的に指定されるのではなく、自分の生活スタイルに合うものを選べるのが特徴です。

配当については、2026年3月期の年間配当実績が1株36円で、2027年3月期は年間38円を予定しています。また同社は継続的かつ安定的な配当を基本方針として掲げています。[参照]

例えば「優待だけでなく現金配当も重視したい」という場合には、楽天グループのようなサービス特化型優待とは違った比較ができます。ただし配当額や優待制度が将来維持される保証はないため、最新の決算や会社予想も確認しましょう。

ヤマダホールディングス|家電や日用品を購入する人なら使いやすい

ヤマダホールディングス(9831)は、ヤマダデンキなどを利用する人にとって分かりやすい株主優待があります。100~499株の場合、3月末基準で500円分、9月末基準で1,000円分の株主優待券が設定されており、年間では合計1,500円分となります。[参照]

ただし、この優待券は一般的な商品券とは利用条件が異なります。税込1,000円以上の買い物につき、1,000円ごとに500円分の優待券1枚を利用する仕組みです。そのため1,500円分の優待券をすべて利用するには、対象店舗で一定額以上の買い物をする必要があります。

例えば家電だけでなく日用品などを普段から対象店舗で購入する家庭なら利用機会を作りやすい一方、ヤマダデンキをほとんど利用しない人では優待券を持て余す可能性があります。株主優待は額面だけでなく、自分が無理なく使い切れるかで評価することが大切です。

イオン|日常的にイオンを利用するなら優待価値を実感しやすい

イオン(8267)は、普段からイオンや対象となるグループ店舗で買い物をする人にとって検討しやすい優待銘柄です。100株以上を保有すると株主優待カードである「オーナーズカード」の対象となります。[参照]

2026年2月末以降の権利確定分では、保有株数に応じて対象となる買い物金額の1~7%が還元される制度となっています。100~199株では1%、200~299株では2%、300~1,499株では3%というように還元率が変わります。[参照]

例えば100株を保有し、対象となる買い物を半年間で20万円した場合、1%なら単純計算で2,000円相当の還元になります。このように利用額によって優待価値が変わるため、イオンを頻繁に利用する家庭ほどメリットを実感しやすい仕組みです。

一方、近所に対象店舗がなく、ほとんど利用しない場合は優待価値が小さくなります。「有名な優待だから」という理由ではなく、自分の年間利用額から実際のメリットを計算すると判断しやすくなります。

候補銘柄を比較するときは「優待+配当」で考える

ここまで紹介した銘柄は、同じ100株保有でも優待の性格が大きく異なります。特徴を簡単に整理すると次のようになります。

銘柄 100株からの主な株主特典 特徴 注意点
楽天グループ 楽天モバイル30GB/月を6カ月無料、条件を満たせば追加6カ月 通信費削減との相性が良い 申込・継続条件があり、2025年12月期は無配
ソフトバンク PayPayマネーライト1,000円分 PayPay利用者に分かりやすい 1年以上の保有条件あり
NTT 保有期間に応じたdポイント 長期保有向け 毎年もらえる制度ではない
TOKAIホールディングス QUOカードなどから選択 年2回・選択制 商品ごとに利用価値が異なる
ヤマダホールディングス 買物優待券 店舗利用者には実用的 優待券に利用条件あり
イオン オーナーズカードによる還元 普段の買い物と相性が良い 利用額によってメリットが変わる

通信費を削減したいなら楽天グループ、PayPayを利用するならソフトバンク、長期保有と配当を重視するならNTT、優待と配当のバランスを比較したいならTOKAIホールディングス、日常の買い物に使いたいならヤマダホールディングスやイオン、といったように、生活スタイルによって魅力的な銘柄は変わります。

そのため「最も優待利回りが高い銘柄」を探すより、自分なら実際に年間いくら分使えるのかを計算したほうが実用的です。

高配当・好業績・株主優待のすべてを求めるときの注意点

理想的なのは「株価が安い・優待が豪華・配当利回りが高い・業績も良い」という銘柄ですが、条件が良く見える株ほど、その理由を確認することが重要です。株価が下落しているため見かけ上の配当利回りが高くなっている場合もあります。

例えば10万円で購入した株から年間3,000円の配当と2,000円相当の優待を受け取れば、年間5,000円相当の株主還元になります。しかし株価が20%下落すると評価額は約8万円となり、単純計算では2万円の含み損です。数年分の配当と優待が一度の株価下落で相殺される可能性があります。

また株主優待は企業が将来にわたって実施する義務があるものではありません。制度の変更や廃止、必要株数の変更などが行われる可能性があります。配当についても同様に、業績悪化などによって減配・無配になることがあります。

購入前には直近数年間の売上高、営業利益、最終利益、営業キャッシュフロー、自己資本、配当実績などを確認し、「優待がなくなったとしても保有したい企業か」という視点を持っておくと、優待だけに振り回されにくくなります。

権利確定日の直前に買えば得とは限らない

株主優待を受け取るには、企業が定める基準日に株主として記録される必要があります。そのため「優待の直前に100株だけ購入すれば簡単に得をする」と考えたくなりますが、実際にはそれほど単純ではありません。

権利付き最終日の翌営業日には、配当や優待の価値などを反映して株価が下落する「権利落ち」が起こることがあります。また、楽天グループやソフトバンク、NTTの例のように、継続保有期間が優待内容に関係する制度もあります。

短期的に優待だけを取得しようとするより、事業内容や業績を確認したうえで、長く保有できると思える企業を選ぶことが基本です。

まとめ|少額の株主優待株は「本当に使える優待」と配当・業績で選ぶ

100株から株主優待を受けられる企業の中には、比較的少ない資金から検討できる銘柄があります。楽天グループの楽天モバイル、ソフトバンクのPayPayマネーライト、NTTのdポイント、TOKAIホールディングスの選択制優待、ヤマダホールディングスの買物優待券、イオンのオーナーズカードなど、優待のタイプもさまざまです。

特に楽天グループの楽天モバイル優待は、条件を満たせば30GB/月の音声+データプランを最大12カ月無料で利用できるため、通信サービスを実際に使う人にとっては特徴的です。一方で2025年12月期は無配であり、配当も重視する場合には他社との比較が必要になります。

株主優待銘柄を選ぶときは「優待が豪華か」ではなく、「自分が使える優待か」「配当を継続できそうか」「企業が長期的に利益を生み出せそうか」の3点を確認することが重要です。

株価、業績、配当予想、株主優待制度はいずれも変更されます。購入を検討するときは最新株価から100株の必要投資額を計算し、企業公式IRの最新決算資料と優待条件を確認したうえで判断しましょう。

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