新NISAは本当に儲かっている?利益が出る人・損する人の違いと「NISA=儲かる制度」ではない理由

資産運用、投資信託、NISA

新NISAが始まってから、「結局みんな儲かっているのか」「NISAをやれば利益が出るのか」と気になる人は少なくありません。SNSや掲示板では大きな含み益の画面が紹介されることもありますが、それだけを見て新NISA全体の成績を判断することはできません。

そもそもNISAは、投資そのものではなく投資で得た利益にかかる税金を一定の範囲で非課税にする制度です。新NISAを使っただけで利益が保証されるわけではなく、何を買ったか、いつ買ったか、どれくらい保有したかによって結果は変わります。

この記事では、新NISAで利益が出る仕組み、含み益が出ている人と損失が出ている人の違い、短期の成績だけでは判断しにくい理由をわかりやすく整理します。

新NISAは「儲かる商品」ではなく税制優遇制度

新NISAで最初に理解しておきたいのは、NISA自体には値上がりする機能がないということです。NISA口座の中で株式や投資信託などを購入し、その商品から利益が出た場合に、通常なら課税される利益を非課税にできるのが制度の中心です。

通常の課税口座では、株式や投資信託の売却益や配当・分配金には原則として約20%の税金がかかります。一方、NISA口座内で制度上の条件を満たした利益については非課税となります。金融庁もNISAについて、個人の資産形成を支援するための少額投資非課税制度として案内しています。[金融庁参照]

例えば100万円で購入した投資信託が120万円になり、20万円の利益を確定したとします。課税口座なら税金が発生しますが、NISA口座内での対象利益であれば20万円をそのまま受け取れるのが大きなメリットです。

NISAは「利益を作る制度」ではなく、「利益が出たときに税金を軽くする制度」です。そのため、まず投資対象そのものの値動きを考える必要があります。

新NISAで儲かっているかは「何を買ったか」で大きく違う

新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を使ってさまざまな金融商品を購入できます。そのため、同じ2024年からNISAを始めた人でも運用成績は同じではありません。

例えば世界株式や米国株式のインデックスファンドを中心に保有している人と、日本の個別株を数銘柄だけ購入している人では、値動きもリスクも異なります。また同じ投資信託でも、購入した時期によって含み益や含み損は変わります。

投資パターン 結果が変わる主な要因
全世界株式インデックス 世界の株価、為替、購入時期
米国株インデックス 米国株価、ドル円相場、購入時期
日本株 国内景気、企業業績、銘柄選択
個別株 企業ごとの業績やニュースの影響が大きい

したがって「新NISA勢は何%儲かっている」と一つの数字で表すことは難しく、NISA利用者全員が同じ結果になっているわけではありません。

同じ商品でも買った時期で利益は変わる

投資では購入価格が重要です。例えば同じ投資信託を買っていても、基準価額が1万円のときに買った人と1万3,000円のときに買った人では、その後の含み益が異なります。

仮に基準価額が現在1万4,000円なら、1万円で買った人は約40%の値上がりですが、1万3,000円で買った人は約7.7%です。同じ商品でも結果は大きく変わります。

さらに積立投資の場合は毎月異なる価格で購入するため、単純に開始日の価格と現在価格を比べただけでは実際の損益を計算できません。高いときにも安いときにも買うことで平均購入単価が形成されます。

そのためSNSで誰かが「新NISAで30%儲かった」と投稿していても、それが自分の成績と違うのは不思議ではありません。

含み益が出ていても「儲かった」が確定したわけではない

証券会社の画面に「+50万円」などと表示されている場合、それは多くの場合「含み益」です。まだ売却していない状態なので、今後の値動きによって増えたり減ったりします。

例えば100万円の投資が130万円になっていても、その後の株価下落で90万円になる可能性はあります。130万円の時点で売却すれば30万円の利益が確定しますが、保有し続けている間は損益が変動します。

反対に一時的に含み損になっていても、長期間保有した結果として価格が回復することがあります。新NISAは非課税保有期間が無期限なので、短期の損益だけではなく長期運用を前提として利用しやすい制度になっています。[金融庁参照]

100万円投資した場合、NISAの非課税効果はどれくらい?

NISAのメリットは、利益が大きくなるほど分かりやすくなります。例えば100万円を投資し、数年後に150万円となって売却した場合、利益は50万円です。

課税口座なら、単純計算で50万円の利益に対して約20%、およそ10万円前後の税負担が発生します。一方、NISA口座内の対象取引であれば、その利益が非課税になります。

項目 課税口座 NISA口座
投資元本 100万円 100万円
売却額 150万円 150万円
利益 50万円 50万円
利益への税金 約10万円 原則0円

もちろん、投資商品そのものが値下がりすればNISAでも損失になります。ただし利益が出た場合には、非課税効果が資産形成を後押しします。

新NISAで損している人も当然いる

NISAが非課税だからといって、損失を防いでくれるわけではありません。株式市場が下落したタイミングでは、多くの利用者が一時的な含み損を抱えることがあります。

例えば100万円の投資信託が20%下落すれば評価額は80万円です。NISA口座であってもこの値下がりはそのまま発生します。

また個別株では、世界全体の株価が上昇していても企業固有の問題によって大きく値下がりすることがあります。業績悪化、不祥事、競争力低下などが起きれば、数年たっても購入価格を回復しない可能性もあります。

そのため、「NISAを始めた=資産が増える」ではなく、投資対象のリスクを引き受けながら、その利益部分を非課税にできると考えるのが正確です。

新NISAでは短期勝負より長期・積立・分散が基本

金融庁は資産形成の基本として「長期・積立・分散投資」を紹介しています。これは値下がりを完全に防ぐ方法ではありませんが、一つの銘柄や一つの購入時期へ資金を集中させるリスクを抑える考え方です。[金融庁参照]

例えば毎月3万円を世界中の株式へ分散するインデックスファンドへ積み立てる場合、株価が高い月には少ない口数を、安い月には多い口数を購入します。

また投資期間が長ければ、途中で株価が下落しても回復を待てる可能性が高まります。ただし長期投資でも元本保証はなく、将来の利益が保証されるものではありません。

新NISAの本来の強みは「短期間で大儲けすること」より、長期間の資産形成で税負担を抑えられることにあります。

一括投資した人と積立投資した人でも見え方が違う

新NISAでは年間投資枠が大きいため、年初にまとまった金額を一括投資する人もいれば、毎月少しずつ積み立てる人もいます。

相場がその後ずっと上昇した場合、年初に一括投資した人のほうが大きな含み益になりやすくなります。早い段階から多くの資金を市場へ置いているためです。

一方、年初直後に大きな下落が起きた場合、一括投資した人の含み損は大きくなります。積立投資なら下落後も安い価格で買い続けることができます。

どちらが必ず有利というわけではなく、将来の価格変動によって結果は異なります。「他人より儲かっているか」よりも、自分が続けられる投資方法かどうかのほうが重要です。

オルカンやS&P500なら必ず儲かるわけではない

新NISAでは全世界株式、いわゆるオルカンやS&P500連動型の投資信託が注目されています。これらは多数の企業へ分散できる点がメリットですが、株式市場全体が下落すれば基準価額も下がります。

世界株式には過去にも金融危機や感染症拡大などをきっかけに急落した時期があります。分散投資は特定企業の倒産リスクを小さくできますが、「株式市場全体が下落するリスク」までなくすものではありません。

また海外株式型ファンドでは、円と外貨の為替変動が基準価額に影響します。海外株が上昇していても大幅な円高になれば、円換算の利益が小さくなる場合があります。

したがって人気商品だから安全なのではなく、長期的な成長を期待しながら価格変動を受け入れる商品だと理解しておく必要があります。

NISAで損失が出た場合には課税口座との違いもある

NISAの税制にはメリットだけでなく注意点もあります。NISA口座内で損失が出た場合、その損失を課税口座の利益と損益通算することはできません。

例えば課税口座で50万円の利益があり、NISA口座で30万円の損失が出ても、NISAの30万円を課税口座の利益から差し引いて税金を減らすことはできません。

またNISA口座内の損失を翌年以降へ繰り越して、将来の利益と相殺することもできません。非課税というメリットの反面、損失については税務上「なかったもの」と扱われる点には注意が必要です。

こうした特徴も含めて、NISAは利益を保証する制度ではなく、長期的な資産形成を税制面から支援する仕組みと理解するのが適切です。

「今いくら儲かったか」より投資目的を確認する

投資を始めると、他人の運用成績が気になることがあります。しかし20代で40年間の資産形成を目的としている人と、数年後の住宅購入資金を運用している人では、適切な投資方法そのものが違います。

例えば長期の老後資金なら、一時的に20%下落しても数十年間保有できる可能性があります。一方、2年後に住宅の頭金として使うお金なら、株式中心の運用は価格下落時に困る可能性があります。

そのため新NISAの成績を見る際には、「今年何%増えたか」だけでなく、何のためのお金なのか、いつ使うのか、どの程度の下落なら耐えられるのかを確認することが重要です。

他人の「NISAで儲かった」は比較しすぎないほうがよい

SNSでは「NISAで100万円増えた」「今年はプラス30%」といった投稿が目立ちやすい一方、損失が出ている人や淡々と積立を続けている人は投稿しないこともあります。そのためネット上で見える成績には偏りが生じる可能性があります。

また100万円の利益でも、元本が300万円なのか3,000万円なのかで意味は大きく異なります。投資期間や入金額が違えば、単純な金額比較にもあまり意味はありません。

新NISAでは最大利用枠が大きいため、資金量の違いによって含み益の金額も大きく変わります。比較するなら利益額よりも、投資目的に合った資産配分を維持できているかを見るほうが有益です。

新NISAで確認したいのは利益額よりこの4点

新NISAを利用している場合、日々の含み益だけを見るより、次のポイントを定期的に確認すると長期投資を続けやすくなります。

  • 投資目的:老後、教育、住宅など何のためのお金か
  • 投資期間:いつまで運用できる資金なのか
  • 資産配分:株式などのリスク資産を持ちすぎていないか
  • 生活資金:暴落時にも投資資産を売らずに生活できる現金があるか

特に生活費や数年以内に使う予定のお金まで株式投資へ回してしまうと、相場が下落したときに売却せざるを得なくなる可能性があります。

投資で重要なのは、最大限の利益を狙うことだけではありません。大きな下落があっても投資を続けられる範囲にリスクを抑えることも、長期的な資産形成では重要です。

まとめ|新NISAで儲かっている人はいるが、NISAだから儲かるわけではない

新NISAを利用して利益が出ている人はもちろんいます。一方で、購入した商品や時期によっては含み損になっている人もいます。その違いはNISAそのものではなく、主に投資対象と市場の値動きによって生じます。

NISAの最大の特徴は、投資利益を一定の制度枠内で非課税にできることです。100万円が150万円になれば50万円の利益を非課税にできる一方、100万円が80万円へ下落する可能性までなくしてくれる制度ではありません。

「新NISAで儲かっているか」という問いは、正確には「新NISAで何を、いつ、いくら買い、現在どの価格になっているか」を確認しなければ答えられません。

短期的には含み益と含み損を行き来することがあっても、新NISAは非課税保有期間が無期限で、長期・積立・分散投資に利用しやすい制度です。他人の利益額を競うより、自分の目的と許容できるリスクに合った運用を継続できているかを見ることが、新NISAを活用するうえで重要です。

なお、本記事はNISA制度と投資の一般的な仕組みを解説するものであり、特定の商品や銘柄の購入を推奨するものではありません。投資には元本割れの可能性があるため、商品の目論見書やリスクを確認したうえで判断してください。

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