金融資産が5,000万円を超えると、「自分は資産家と呼べるのだろうか」「富裕層に入るのだろうか」と気になる人も多いでしょう。5,000万円は一般的な家計から見ればかなり大きな金額ですが、実は「資産家」や「富裕層」という言葉には、それぞれ少し違った使われ方があります。
「資産家」には法律上の明確な金額基準がありません。一方、日本の富裕層に関する統計としてよく引用される野村総合研究所(NRI)の分類では、世帯の純金融資産5,000万円以上1億円未満を「準富裕層」としています。
そのため、借金を差し引いた金融資産が5,000万円以上あるのであれば、一般的にはかなり資産の多い層であり、広い意味で「資産家」と呼ばれても不自然ではありません。ただし、NRIの分類上で正式に「富裕層」と呼ばれるラインは1億円以上です。この違いを詳しく見ていきます。
- 金融資産5,000万円なら一般的には「資産家」と呼べる水準
- NRIでは純金融資産5,000万円以上を「準富裕層」と分類
- 「金融資産5,000万円」と「純金融資産5,000万円」は違う
- 具体例で見る5,000万円の資産状況
- 日本で準富裕層はどのくらいいるのか
- 5,000万円あっても本人に「お金持ち」という実感がないことは珍しくない
- 5,000万円あれば働かずに暮らせるのか
- 5,000万円を年3%で運用すると年間150万円だが確実ではない
- 金融資産5,000万円は「資産形成のゴール」ではなく選択肢が増える水準
- 5,000万円から1億円になると「富裕層」に分類が変わる
- 不動産を含めた総資産とは分けて考える必要がある
- 個人で5,000万円なのか世帯で5,000万円なのかにも注意
- まとめ:金融資産5,000万円以上なら一般的には資産家、NRI基準では準富裕層
金融資産5,000万円なら一般的には「資産家」と呼べる水準
まず、「資産家」という言葉そのものには、国や法律が定めた統一基準はありません。「金融資産3,000万円以上なら資産家」「5,000万円以上でなければ資産家ではない」といった公式ルールは存在しません。
一般的には、預貯金、株式、投資信託、債券、不動産など、多額の資産を保有している人を広く資産家と呼びます。そのため、金融資産だけで5,000万円以上保有している人を資産家と表現することには大きな違和感はありません。
特に5,000万円を住宅などの実物資産ではなく、預金や株式といった比較的換金しやすい金融資産として持っている場合、家計の経済的な余力はかなり大きいと考えられます。
NRIでは純金融資産5,000万円以上を「準富裕層」と分類
日本で資産階層を考える際によく使われるのが、野村総合研究所(NRI)の「純金融資産保有額」による分類です。
NRIは、預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯が保有する金融資産から負債を差し引いた金額によって、世帯を5つの階層に分類しています。2023年を対象とした推計では、次のようになっています。[参照:野村総合研究所 2025年公表資料]
| 分類 | 純金融資産保有額 |
|---|---|
| 超富裕層 | 5億円以上 |
| 富裕層 | 1億円以上5億円未満 |
| 準富裕層 | 5,000万円以上1億円未満 |
| アッパーマス層 | 3,000万円以上5,000万円未満 |
| マス層 | 3,000万円未満 |
この基準では、純金融資産5,000万円は「準富裕層」の入口です。つまり統計上の「富裕層」にはまだ届かないものの、その一つ下の資産階層に入ります。
「金融資産5,000万円」と「純金融資産5,000万円」は違う
ここで最も重要なのが、「金融資産」と「純金融資産」の違いです。単純に金融資産を5,000万円持っているだけでは、NRI基準の準富裕層に該当するとは限りません。
純金融資産とは、金融資産の合計額から負債を差し引いたものです。例えば預金と株式を合計5,000万円保有していて、借金がなければ純金融資産も5,000万円です。
一方、金融資産5,000万円を持っていても住宅ローンなどの負債が2,000万円ある場合、単純化すると純金融資産は3,000万円です。この場合、NRIの分類では準富裕層ではなくアッパーマス層に該当することになります。
したがって「5,000万円以上ある」という場合には、借金を差し引く前なのか、差し引いた後なのかを確認することが重要です。
具体例で見る5,000万円の資産状況
同じ「5,000万円持っている人」でも、資産と負債の内容によって経済的な状態はかなり違います。
| ケース | 金融資産 | 負債 | 純金融資産 | NRI分類の目安 |
|---|---|---|---|---|
| A | 5,500万円 | 0円 | 5,500万円 | 準富裕層 |
| B | 6,000万円 | 住宅ローン2,000万円 | 4,000万円 | アッパーマス層 |
| C | 8,000万円 | 1,000万円 | 7,000万円 | 準富裕層 |
| D | 1億2,000万円 | 2,000万円 | 1億円 | 富裕層 |
このように、金融資産の額面だけではなく負債まで含めて見ることで、実際の資産余力が分かります。
特に住宅ローンや投資用不動産ローンなどの大きな負債がある場合、「資産○千万円」という数字だけを見ると実態以上に裕福に見えることがあります。
日本で準富裕層はどのくらいいるのか
NRIが2025年2月に公表した2023年時点の推計によると、純金融資産5,000万円以上1億円未満の準富裕層は403.9万世帯です。[参照:野村総合研究所]
これに対して、純金融資産1億円以上5億円未満の富裕層は153.5万世帯、5億円以上の超富裕層は11.8万世帯と推計されています。
準富裕層は富裕層より人数が多いため、「非常に珍しく、ほとんど存在しない人」というほどではありません。それでも日本の全世帯から見れば上位の資産階層に位置します。
NRIによれば、準富裕層は2021年から2023年にかけて大きく増加しました。株価上昇などによって保有する株式や投資信託の評価額が増え、アッパーマス層から準富裕層へ移行した世帯が増えたことなどが背景にあります。
5,000万円あっても本人に「お金持ち」という実感がないことは珍しくない
金融資産5,000万円という数字だけを見るとかなり裕福に感じますが、本人が「お金持ちになった」という実感を持っているとは限りません。
例えば50代の会社員が長年の貯蓄と株式投資によって5,000万円を作ったとしても、老後資金、住宅修繕費、子どもの教育費、親の介護費などを考えれば、その5,000万円を自由に使えるとは限りません。
また、東京など住宅費の高い地域で生活する世帯と、生活費の低い地域に住む世帯とでは、同じ5,000万円でも安心感は違います。
NRIも、近年の株価上昇などによって資産額が増えた「いつの間にか富裕層」と呼ばれる人々について、資産額が増えても従来と変わらない生活をしているケースがあると分析しています。[参照:野村総合研究所 金融ITフォーカス]
5,000万円あれば働かずに暮らせるのか
資産家かどうかとは別に、「5,000万円あれば仕事を辞められるのか」という疑問もあります。しかし5,000万円だけで一生働かずに暮らせるかどうかは、年齢と年間支出によって大きく変わります。
例えば年間生活費が250万円なら、運用収益を一切考えない単純計算では5,000万円は20年分です。年間500万円を使う家庭なら10年分しかありません。
65歳で公的年金を受給しながら5,000万円を取り崩す人と、35歳で今後50年以上の生活費を5,000万円だけで賄おうとする人とでは、意味がまったく異なります。
そのため、「5,000万円=一生働かなくてよい金額」ではありません。一方で、老後資金や急な支出への対応力という点では、5,000万円の金融資産は非常に大きな安心材料になります。
5,000万円を年3%で運用すると年間150万円だが確実ではない
5,000万円という資産額になると、運用収益も家計へ大きな影響を与えるようになります。例えば5,000万円を平均年3%で運用できれば、単純計算では年間150万円の収益になります。
年4%なら年間200万円、年5%なら年間250万円です。この規模になると、給与以外の資産所得が生活費の一部を支える可能性があります。
ただし株式や投資信託のリターンは毎年一定ではありません。年間20%上昇する年もあれば、大幅に下落する年もあります。また預金や債券中心で運用すれば価格変動リスクを抑えられる一方、期待できる収益率も異なります。
したがって「5,000万円×○%を毎年必ず使える」と考えるのではなく、資産配分、税金、インフレ、相場下落などを考慮する必要があります。
金融資産5,000万円は「資産形成のゴール」ではなく選択肢が増える水準
金融資産5,000万円に到達すると、生活に関する選択肢はかなり増えます。例えば転職時に多少の収入減を受け入れたり、住宅ローンを繰り上げ返済したり、早めに仕事量を減らしたりするといった選択がしやすくなります。
資産から得られる収益も無視できない規模になるため、「労働収入だけで資産を作る段階」から「保有資産そのものにも働いてもらう段階」へ移行しやすい金額でもあります。
ただし資産が増えれば、資産管理の重要性も高まります。一つの株式や通貨へ集中していれば、大きな相場変動によって5,000万円が短期間で大幅に減る可能性もあります。
金額が大きくなるほど、資産を増やすことだけでなく、分散・税制・相続・詐欺対策などを含めて守ることも重要になります。
5,000万円から1億円になると「富裕層」に分類が変わる
NRIの分類では、5,000万円以上1億円未満が準富裕層、1億円以上5億円未満が富裕層です。そのため純金融資産1億円が一つの明確な境界になっています。
例えば純金融資産5,000万円から年間5%ずつ資産が増えたと仮定すると、追加投資を一切しない単純計算でも約14年で1億円に近づきます。もちろん現実の運用成績は毎年一定ではなく、税金や支出もあるため、この通りになるわけではありません。
給与からの追加投資を続けながら資産運用を行えば、5,000万円から1億円までの期間が短くなる可能性もあります。このため準富裕層は、将来的な富裕層候補として金融機関からも注目される層です。
不動産を含めた総資産とは分けて考える必要がある
金融資産5,000万円と、総資産5,000万円では意味が違います。例えば評価額5,000万円の自宅を住宅ローンで購入した直後の人は、形式上は大きな資産を保有していますが、それだけで準富裕層になるわけではありません。
一方、借金がなく、預金2,000万円と株式3,000万円を持っている人なら、純金融資産は5,000万円となりNRI基準では準富裕層です。
不動産オーナーや会社経営者の場合には、不動産や自社株などの価値が大きく、金融資産だけでは本当の経済力を測りにくいケースもあります。その場合には純金融資産だけでなく、不動産や事業資産を含む純資産全体を見る必要があります。
個人で5,000万円なのか世帯で5,000万円なのかにも注意
NRIの資産階層分類は世帯単位で推計されています。そのため、夫婦それぞれが保有する金融資産を合わせて5,000万円あり、負債を差し引いても5,000万円以上残る場合には、世帯として準富裕層に該当します。
一方、「自分一人で金融資産5,000万円を持っている」という場合には、世帯全体ならさらに多くの資産を持っている可能性があります。
資産に関する統計や記事を比較するときは、個人単位なのか世帯単位なのかを確認することが重要です。同じ「5,000万円」でも条件が変われば意味が変わります。
まとめ:金融資産5,000万円以上なら一般的には資産家、NRI基準では準富裕層
「資産家」という言葉には法律上の明確な基準がないため、金融資産を5,000万円以上持っている人を一般的に資産家と呼んでも不自然ではありません。家計として見ても、かなり大きな金融資産を保有している状態です。
一方、野村総合研究所の広く知られた分類では、純金融資産5,000万円以上1億円未満は「準富裕層」です。1億円以上になると「富裕層」、5億円以上になると「超富裕層」に分類されます。
したがって、借金を差し引いた純金融資産が5,000万円以上なら、日本では富裕層の一つ手前に位置する「準富裕層」であり、広い意味では十分に資産家と呼べる水準と考えられます。
ただし金融資産5,000万円があっても、3,000万円の負債を抱えていれば純金融資産は2,000万円です。反対に借金がなく5,000万円を保有していれば、経済的な余力はかなり大きくなります。
資産規模を判断するときは、単純な金融資産額だけでなく、負債を差し引いた純金融資産、年齢、年間生活費、収入、資産の内訳まで合わせて見ることが重要です。5,000万円という数字は一つの目安ですが、本当の経済的な豊かさは「その資産でどれだけ生活の選択肢を持てるか」によって変わります。
こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。


コメント